悪夢の織り手、アショク
2013年10月24日 TCG全般やぁ、久しぶりだ。今日はこのカードの強さについて考えることにするよ。まずは能力のおさらいからいこう。
+2:対戦相手一人のデッキトップ3枚を追放する。
-x:このカードによって追放されたクリーチャーカードのうち、点数で見たマナコストがxのクリーチャー1体をあなたのコントロール下で戦場に出す。
-10:対戦相手一人の手札と墓地の全てのカードを追放する。
基本、というか着地したそのターンには+2能力しか使うことがない。仮に別のアショクによってゲーム外に追放されているカードがあったとしても、それは全く別のオブジェクトのものなので-能力でクリーチャーを戦場に戻すことはできない。
よって、-能力を使うためには最低でも1回は+2能力を起動しなくてはいけない。1回でも+能力を使えば忠誠度は5と非常に硬くなるため、何もなければ次のターンにはマナコスト5までのクリーチャーを自軍の支配下に置くことができる(もちろんクリーチャーカードが追放されている場合の話だ)。
多少なりとも忠誠度が減らされたとしても、今のスタンダード環境では3マナ以下のクリーチャーであっても意味不明なスペックを兼ね備えているナイスガイが腐るほどいる。それは復活の声や漁る軟泥からロクソドンの強打者を経てボロスの反抗者を通過し、世界を喰らう者、ポルクラノスや嵐の息吹のドラゴンにまで通じる道だ。もちろんガチガチのコントロール相手には+2能力を連打して忠誠度を育て上げ、奥義をぶつけるのもいいだろう。手札のないコントロールなんて恐れるに足らずだし、これに対応してスフィンクスの啓示を撃たれたとしてもそれは何の脅威にもなりはしないだろう。
現在このPWが使用されているデッキはかなり限られたバリエーションでしか存在しない。というより、青と黒をマナコストの中に要求している時点で使われるデッキそのものが限られているというべきか。
重量級のエスパーコントロールに採用されるときは少なくないが、多くの場合このPWは思考を築く者、ジェイスや、太陽の勇者、エルズペスよりも優先して使われることはまずないだろう。それは決してこのPWが前者2人のPWよりも能力面で明らかに劣っているというわけではなく、単純にそのデッキにおける勝ち筋とは離れた場所に位置するカードだからと私は考える。
比較対象として1つ前の環境のネファリアの溺墓を挙げようか。基本的にアショクの+2能力とネファリアの起動能力は、相手のライブラリを削る速度という点では同じ速度のものだ。もちろんアショクはPWであるがゆえに1枚しか戦場に出すことはできないし、土地ではないのでクリーチャーや火力に殺されたり拘留の宝球で隠されたりもする。勝っている点といえば、その起動コストにマナが不要であるということくらいだろう。
前の環境のコントロールのミラーマッチでネファリアが強かったのは、土地であるがゆえに対応がされにくく(同様にこちらもしにくい)、複数枚戦場に並べることができたからだ。1ターンに6枚、もしくは9枚の速度でライブラリを削られれば、ただでさえ熟慮やスフィンクスの啓示でカードを引いているコントロールデッキはたちまち崩れ去ってしまう。
では結局、アショクというPWの利点は、メリットはどこにあるのだろうか。私が思うにそれは、ある種の嵌め殺しができるという点につきると思う。
まず初めに3マナというマナコストの軽さだ。これまでに多数刷られてきたPWを振り返ってみても、そこにはジェイス・ベレレン、ヴェールのリリアナ、ドムリ・ラーデという環境を支配できるポテンシャルの高いものが揃っている(ん? なんだか外が騒がしいな……なんだ、白い野良猫か。夜も遅いし、少し黙ってくれないかな)。
極端な例を出そう。1t目に思考囲いで相手の初動となる行動を抜き去る。2t目は本質の散乱や破滅の刃のような軽量除去を構える。もちろん相手が何もしてこないならそれに越したことはない。そして迎える3t目、お互いの場には土地しか並んでないような状況だ。
私は3枚目の土地を、それが必要であれば2点のライフを支払ってアンタップ状態で場に出す。このとき相手が2マナ立てているのであれば、これからプレイする私のアショクはもしかしたら打ち消されたりする可能性もなくはない。が、その脅威はすでに1t目の思考囲いで取り除けていることがほとんどだ。1マナした立てていないなら危惧の必要はないし、2マナとも寝ているならそれは相手の墓地にクリーチャーが1体置かれているということなのだろう。
そう、まさにこの状況だ。この、「互いの戦場にパーマネントが土地しか存在していない」という状況こそ、アショクがもっともその強さを発揮できる場ではないだろうかと私は考える。
もちろん土地しかないような戦場にPWが一方的に着地すれば、それはどのPWであろうとそう遠くないうちにゲームを終わらせることができるだろう(まだ外で白猫が鳴いているようだ。近所迷惑だからそろそろどこかに行ってほしい)。だからここで注意して欲しいのは、これがゲームが始まってまだわずかに3t目の出来事であるということだ。
先手後手による優劣の差は確かにある。できれば上記の行動は先手で綺麗に行いたいところではあるが、サイコロの目というものは実に気まぐれでこちらの思うようには大きな目を出してはくれない。出してくれたところで相手の目より大きいものとは限らないし、そういう意味では後手の動きとしては上記は決して理想的ではないのかもしれない。
それでもなお、このアショクというPWは3t目にプレイしたときがもっとも強力であると私は思う。その結果として+2能力が何のクリーチャーも追放しないことはままある。だが、それでも対戦相手からすればこのPWは厄介なことこの上ないのは間違いない。放っておいてもクリーチャーは追放されないかもしれないが、それならそれで忠誠度が10を超えたときに大変なことになる。あるいは都合よく何かしらのクリーチャーを追放できたのであれば、対戦相手はますますアショクに対する対処を早急にしなくてはいけない。対戦相手のデッキの中に入っているクリーチャーはどれも強力なものばかりで、それが牙を向いて立ちはだかるというのだからなおさらだ。
誰だってデッキの中にそのクリーチャーが入っているには意味がある。それはマナを加速して通常より1t早い展開力を発揮するためだったり、メタゲームの上位のデッキに対して相性のいい、あるいはガンとなるカードであったり、ただ戦場に出るだけで勝利に一歩近づけるカードであったりする。
繰り返そう。そのクリーチャーがそのデッキに入っていることには意味がある。多くの場合、その理由はそのプレイヤーが勝利により近づくために必要なカードだからだ。それは同時に、同じカードを相手にした場合には非常に手間がかかって面倒なことこの上ないクリーチャーに違いない。
そんな脅威を、早ければ3t目から奪い取る機会を与えてくれるかもしれない、そんなすばらしいPWが、弱いカードに見えるかい?
ただし、使うときは用法要領を守って正しく使うことをオススメしよう。悪夢の織り手、アショクは、この文を読んで感じてくれたほどには強力なPWではないのだからね。
最後まで読んでくれてありがとう。
+2:対戦相手一人のデッキトップ3枚を追放する。
-x:このカードによって追放されたクリーチャーカードのうち、点数で見たマナコストがxのクリーチャー1体をあなたのコントロール下で戦場に出す。
-10:対戦相手一人の手札と墓地の全てのカードを追放する。
基本、というか着地したそのターンには+2能力しか使うことがない。仮に別のアショクによってゲーム外に追放されているカードがあったとしても、それは全く別のオブジェクトのものなので-能力でクリーチャーを戦場に戻すことはできない。
よって、-能力を使うためには最低でも1回は+2能力を起動しなくてはいけない。1回でも+能力を使えば忠誠度は5と非常に硬くなるため、何もなければ次のターンにはマナコスト5までのクリーチャーを自軍の支配下に置くことができる(もちろんクリーチャーカードが追放されている場合の話だ)。
多少なりとも忠誠度が減らされたとしても、今のスタンダード環境では3マナ以下のクリーチャーであっても意味不明なスペックを兼ね備えているナイスガイが腐るほどいる。それは復活の声や漁る軟泥からロクソドンの強打者を経てボロスの反抗者を通過し、世界を喰らう者、ポルクラノスや嵐の息吹のドラゴンにまで通じる道だ。もちろんガチガチのコントロール相手には+2能力を連打して忠誠度を育て上げ、奥義をぶつけるのもいいだろう。手札のないコントロールなんて恐れるに足らずだし、これに対応してスフィンクスの啓示を撃たれたとしてもそれは何の脅威にもなりはしないだろう。
現在このPWが使用されているデッキはかなり限られたバリエーションでしか存在しない。というより、青と黒をマナコストの中に要求している時点で使われるデッキそのものが限られているというべきか。
重量級のエスパーコントロールに採用されるときは少なくないが、多くの場合このPWは思考を築く者、ジェイスや、太陽の勇者、エルズペスよりも優先して使われることはまずないだろう。それは決してこのPWが前者2人のPWよりも能力面で明らかに劣っているというわけではなく、単純にそのデッキにおける勝ち筋とは離れた場所に位置するカードだからと私は考える。
比較対象として1つ前の環境のネファリアの溺墓を挙げようか。基本的にアショクの+2能力とネファリアの起動能力は、相手のライブラリを削る速度という点では同じ速度のものだ。もちろんアショクはPWであるがゆえに1枚しか戦場に出すことはできないし、土地ではないのでクリーチャーや火力に殺されたり拘留の宝球で隠されたりもする。勝っている点といえば、その起動コストにマナが不要であるということくらいだろう。
前の環境のコントロールのミラーマッチでネファリアが強かったのは、土地であるがゆえに対応がされにくく(同様にこちらもしにくい)、複数枚戦場に並べることができたからだ。1ターンに6枚、もしくは9枚の速度でライブラリを削られれば、ただでさえ熟慮やスフィンクスの啓示でカードを引いているコントロールデッキはたちまち崩れ去ってしまう。
では結局、アショクというPWの利点は、メリットはどこにあるのだろうか。私が思うにそれは、ある種の嵌め殺しができるという点につきると思う。
まず初めに3マナというマナコストの軽さだ。これまでに多数刷られてきたPWを振り返ってみても、そこにはジェイス・ベレレン、ヴェールのリリアナ、ドムリ・ラーデという環境を支配できるポテンシャルの高いものが揃っている(ん? なんだか外が騒がしいな……なんだ、白い野良猫か。夜も遅いし、少し黙ってくれないかな)。
極端な例を出そう。1t目に思考囲いで相手の初動となる行動を抜き去る。2t目は本質の散乱や破滅の刃のような軽量除去を構える。もちろん相手が何もしてこないならそれに越したことはない。そして迎える3t目、お互いの場には土地しか並んでないような状況だ。
私は3枚目の土地を、それが必要であれば2点のライフを支払ってアンタップ状態で場に出す。このとき相手が2マナ立てているのであれば、これからプレイする私のアショクはもしかしたら打ち消されたりする可能性もなくはない。が、その脅威はすでに1t目の思考囲いで取り除けていることがほとんどだ。1マナした立てていないなら危惧の必要はないし、2マナとも寝ているならそれは相手の墓地にクリーチャーが1体置かれているということなのだろう。
そう、まさにこの状況だ。この、「互いの戦場にパーマネントが土地しか存在していない」という状況こそ、アショクがもっともその強さを発揮できる場ではないだろうかと私は考える。
もちろん土地しかないような戦場にPWが一方的に着地すれば、それはどのPWであろうとそう遠くないうちにゲームを終わらせることができるだろう(まだ外で白猫が鳴いているようだ。近所迷惑だからそろそろどこかに行ってほしい)。だからここで注意して欲しいのは、これがゲームが始まってまだわずかに3t目の出来事であるということだ。
先手後手による優劣の差は確かにある。できれば上記の行動は先手で綺麗に行いたいところではあるが、サイコロの目というものは実に気まぐれでこちらの思うようには大きな目を出してはくれない。出してくれたところで相手の目より大きいものとは限らないし、そういう意味では後手の動きとしては上記は決して理想的ではないのかもしれない。
それでもなお、このアショクというPWは3t目にプレイしたときがもっとも強力であると私は思う。その結果として+2能力が何のクリーチャーも追放しないことはままある。だが、それでも対戦相手からすればこのPWは厄介なことこの上ないのは間違いない。放っておいてもクリーチャーは追放されないかもしれないが、それならそれで忠誠度が10を超えたときに大変なことになる。あるいは都合よく何かしらのクリーチャーを追放できたのであれば、対戦相手はますますアショクに対する対処を早急にしなくてはいけない。対戦相手のデッキの中に入っているクリーチャーはどれも強力なものばかりで、それが牙を向いて立ちはだかるというのだからなおさらだ。
誰だってデッキの中にそのクリーチャーが入っているには意味がある。それはマナを加速して通常より1t早い展開力を発揮するためだったり、メタゲームの上位のデッキに対して相性のいい、あるいはガンとなるカードであったり、ただ戦場に出るだけで勝利に一歩近づけるカードであったりする。
繰り返そう。そのクリーチャーがそのデッキに入っていることには意味がある。多くの場合、その理由はそのプレイヤーが勝利により近づくために必要なカードだからだ。それは同時に、同じカードを相手にした場合には非常に手間がかかって面倒なことこの上ないクリーチャーに違いない。
そんな脅威を、早ければ3t目から奪い取る機会を与えてくれるかもしれない、そんなすばらしいPWが、弱いカードに見えるかい?
ただし、使うときは用法要領を守って正しく使うことをオススメしよう。悪夢の織り手、アショクは、この文を読んで感じてくれたほどには強力なPWではないのだからね。
最後まで読んでくれてありがとう。
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