私がマルドゥを使い続ける理由 その4 -ピア・ナラーとキラン・ナラー-
2015年11月2日 考察記事 コメント (7)風番いのロックを使うと決めた。そこまではいい。1つ前の日記でも書いたが、ロックは強襲を満たしてこそ真の強さを発揮するカードだ。ただ5マナを払ってオマケ付きの3/4飛行を出すだけでは何の意味もない。5ターン目にキャストすることを大前提として、そのためには前座が必要だ。それも、できるだけしぶとく生き残ることのできる前座が必要だ。
搭載歩行機械? よろしい、採用だ。絹包み? アブザンの魔除け? 冗談じゃない。冗談では済まされないが、しかしそれらは歩行機械に対するベストアンサーだ。課題がまた一つ増えた。どちらにも引っかからず、なおかつ強襲の手助けになる別の何かが必要になった。しかしそんな都合のいいカードが……あった。
何てことだ。龍から始まって鳥に成り下がり、空を飛ぶ手段なんてほかには何も残されていないと思った中で、それでも人は空を飛ぶ技術をすでに手に入れていた。正確には空を飛ぶのは人ではなく飛行機械だが、それがお供に2体もついてくるというなら採用しない理由は見当たらない。歓迎しよう。ピア・ナラーとキラン・ナラーの2人を。そして2人が連れてきた飛行機械を。
ローテーション前から変わらず、スタンダードの環境は空がすいていることが多い。地上ではサイが猛威を振るっているだろうが、残念ながらその頭上にまでは気が回っていないようだ。最近ではカマキリが何やら幅を利かせているという噂話を聞くが、それも時間の問題だ。何せこっちは巨大な鳥を2匹同時に呼ぶ出す術を手に入れたのだから。
ピア・ナラーとキラン・ナラーもまた、歩行機械と時を同じくして少なからず環境に変化を与えたカードの1つだろう。伝説であるということを除けば、そのボードアドバンテージはかつての包囲攻撃の司令官と比較しても何ら遜色のないものだということはすぐに分かる。起動コストは1マナ分重くなってアーティファクトしか投げれないという制約はあるものの、投げる弾薬としてもってこいの歩行機械がいることは2人にとっても朗報だ。
ナラー夫妻、そしてロック。4マナのカードから5マナのカードへと、この2種類の組み合わせはマナカーブの動きとしても非情に理想的なものだといえる。もともとマルドゥというデッキは採用されるカードの都合上、ほとんどの場合でミッドレンジの動きをするデッキだ。ゴブリンの熟練扇動者無き今、空席となったその3マナ域をすんなりと埋め合わせてくれるカードは残念ながらない。しかしそれは言い換えれば、3枚目の置く土地がタップインでもいいという意味でもある。
1つ前の記事にも書いたが、3色デッキを組む以上は必ずといっていいほどタップインの土地を処理しなくてはならないターンというものが存在する。それはマルドゥも例外ではなく、理想としては1ターン目に氏族土地やミシュラランドを処理しておきたいところだが、特に後手の場合などには1マナの軽量除去や手札破壊を優先して構える、あるいはプレイしなくてはいけない局面も多くなってくる(理由の最たるはジェイスをどうにかしなくてはならないということだ)。
個人的な見解としては、マルドゥを使う上でタップインの土地を効率よく処理したいターンは1ターン目と3ターン目だ。もちろんこれは先手後手や相手のデッキ、サイドボードの前後で少なからず変動するが、この場合は仮にこちらが先手で相手のデッキが分からない1ゲーム目のこととして書いておこう。
1ターン目にタップインを処理するのは珍しいことではない。もともとマルドゥのクロックは2ターン目から機能するものがほとんどで、繰り返しになるが1ターン目はタップインの土地によるテンポロスをなくすための最善のターンでもある。2枚目の土地はぜひアンタップで置いてクロックを展開したいところではあるが、先手の利を生かして手札破壊や1マナの除去を構えて2枚目のタップインを処理するのも悪くない動きだ。
やはり重要となるのは4枚目、そして5枚目の土地をしっかりとアンタップインで……いや、そもそもにおいてまず4枚目の土地と5枚目の土地にアクセスできるかどうかが非常に重要だ。私は今の環境になってもずっとマルドゥを使い続けているが、土地が25枚のデッキでも4枚目の土地を置けずにゲームに負けることが非情に多かった。そしてそれは非常に悲しく、非常に悔しい。何せこっちはゲームをしていないのだから。
そしてまず土地の枚数とマナベースの改善を行った。ミシュラランドの採用によってマルドゥも多少のマナフラッドが許容できるようになったので、土地の枚数は26枚まで増加した。たった1枚の差ではあるが、このおかげで少なくとも4枚目の土地くらいまでは1度のフェッチランドの使用を経由したとしても安定して並べることができるようになった。
マルドゥにおける4ターン目のナラー夫妻、5ターン目のロックという動きはもはや必勝パターンに近い。そこに至るまでの1-3ターン目までは軽めのクロックを用意して攻め手を絶やさないように盤面を構築するなり、軽めの除去で相手の妨害をするなどに専念するべきだ。特に相手の場にクリーチャーを出来るだけ残さずしっかりと処理をすることにより、4ターン目以降の相手の動きを著しく制限することが可能だ。
前述したように、ナラー夫妻は絹包みにもアブザンの魔除けにも引っかからない上にこちらの手数を増やしてくれる。相手からしてみれば本体も飛行機械もどちらも厄介だろうが、全てを一度に対処するのは非常に難しい。特に衰滅が環境から減ってきている今は困難だし、相手のはじける破滅にも強い。
こうして面で攻めることを覚えてからは使用感が思いのほかよくなった。マルドゥというデッキは相手に対して対処をするデッキだとばかり思い込んでいたが、今は相手に対処を迫るための動きも身につけていた。しかも対処方法は極めて難しい上に、撃ち漏らしがあろうものならばすぐさまに2匹の巨大な鳥が戦場への増援に駆けつけるのだ。
多くのプレイヤーが感じたことがあると思うが、強襲を満たしたロックを追加された盤面を捲くるのは本当に難しい。そしてそれこそが私の追い求めてきたマルドゥ本来の動きだったのだ(よくよく見ればロックも強襲のキーワード能力を持っている以上、紛れもなくマルドゥのためのカードなのだ!)。
以上の点を踏まえた上で、最近使っている実際のリストを紹介させてもらおう。
4搭載歩行機械
3魂火の大導師
3ピア・ナラーとキラン・ナラー
4風番いのロック
4焦熱の衝動
3蔑み
2絹包み
4はじける破滅
2コラガンの命令
1残忍な切断
2ゼンディカーの同盟者、ギデオン
2真面目な訪問者、ソリン
4血染めのぬかるみ
4遊牧民の前哨地
4乱脈な気孔
4戦場の鍛冶場
2コイロスの洞窟
2燻る湿地
3山
2平地
1沼
サイドボードは割愛させてもらう。
構築当初はギデオンが4枚だったのだが、マナベース的にやはり白白を4ターン目までに揃えることは難しいこともあり、ソリンと2枚ずつ散らす形で落ち着いた。ギデオンは極めて強力なPWだが、主にすれ違いのライフレースをするようなデッキ相手にはソリンのほうがより強力に機能する。
魂火の枚数が3枚に抑えられているのは、序盤に2枚以上引いたときに弱いからだ。しかし後半のマナフラッドなどにもバイバック能力で対応できるので、3枚以下の枚数にするつもりはない。コラガンの命令やはじける破滅がバイバックするようになったら相手の顔をよく見てみるといいだろう。
ナラー夫妻も4枚採用したかったのだが、やはり伝説ということと早い段階で2枚目を引きたくないので3枚に減らした。代わりにこのデッキの主役であるロックは4枚のフル体勢だ。これはゲーム序盤に手札でダブつくことを天秤にかけても、5ターン目に1枚目をプレイできる前提ならその時点で勝ちを大きく引き寄せてくれるカードなので一切の妥協はなしだ。
さて、長々と脈絡のない文章だったが暇つぶしの種程度には楽しんでもらえただろうか? もちろんロックを一番うまく使えるデッキがマルドゥである、ということはない。無理なく4枚使えるデッキを探しているなら、マルドゥをオススメするよくらいの気持ちで解釈してくれればこちらとしても幸いだ。
ここまで読んでくれてありがとう。色々と足りない部分の多い文章だとは自覚しているが、今までマルドゥを使っていた、あるいはこれからマルドゥを使おうと考えている多くのMTGプレイヤーのわずかな一助にでもなることができたのなら、これほど嬉しいことはない。
最後に、全ての風番いのロックが群れを成し、包囲サイの遥か頭上を越えてあなたへと勝利の風をもたらしてくれますように。
搭載歩行機械? よろしい、採用だ。絹包み? アブザンの魔除け? 冗談じゃない。冗談では済まされないが、しかしそれらは歩行機械に対するベストアンサーだ。課題がまた一つ増えた。どちらにも引っかからず、なおかつ強襲の手助けになる別の何かが必要になった。しかしそんな都合のいいカードが……あった。
何てことだ。龍から始まって鳥に成り下がり、空を飛ぶ手段なんてほかには何も残されていないと思った中で、それでも人は空を飛ぶ技術をすでに手に入れていた。正確には空を飛ぶのは人ではなく飛行機械だが、それがお供に2体もついてくるというなら採用しない理由は見当たらない。歓迎しよう。ピア・ナラーとキラン・ナラーの2人を。そして2人が連れてきた飛行機械を。
ローテーション前から変わらず、スタンダードの環境は空がすいていることが多い。地上ではサイが猛威を振るっているだろうが、残念ながらその頭上にまでは気が回っていないようだ。最近ではカマキリが何やら幅を利かせているという噂話を聞くが、それも時間の問題だ。何せこっちは巨大な鳥を2匹同時に呼ぶ出す術を手に入れたのだから。
ピア・ナラーとキラン・ナラーもまた、歩行機械と時を同じくして少なからず環境に変化を与えたカードの1つだろう。伝説であるということを除けば、そのボードアドバンテージはかつての包囲攻撃の司令官と比較しても何ら遜色のないものだということはすぐに分かる。起動コストは1マナ分重くなってアーティファクトしか投げれないという制約はあるものの、投げる弾薬としてもってこいの歩行機械がいることは2人にとっても朗報だ。
ナラー夫妻、そしてロック。4マナのカードから5マナのカードへと、この2種類の組み合わせはマナカーブの動きとしても非情に理想的なものだといえる。もともとマルドゥというデッキは採用されるカードの都合上、ほとんどの場合でミッドレンジの動きをするデッキだ。ゴブリンの熟練扇動者無き今、空席となったその3マナ域をすんなりと埋め合わせてくれるカードは残念ながらない。しかしそれは言い換えれば、3枚目の置く土地がタップインでもいいという意味でもある。
1つ前の記事にも書いたが、3色デッキを組む以上は必ずといっていいほどタップインの土地を処理しなくてはならないターンというものが存在する。それはマルドゥも例外ではなく、理想としては1ターン目に氏族土地やミシュラランドを処理しておきたいところだが、特に後手の場合などには1マナの軽量除去や手札破壊を優先して構える、あるいはプレイしなくてはいけない局面も多くなってくる(理由の最たるはジェイスをどうにかしなくてはならないということだ)。
個人的な見解としては、マルドゥを使う上でタップインの土地を効率よく処理したいターンは1ターン目と3ターン目だ。もちろんこれは先手後手や相手のデッキ、サイドボードの前後で少なからず変動するが、この場合は仮にこちらが先手で相手のデッキが分からない1ゲーム目のこととして書いておこう。
1ターン目にタップインを処理するのは珍しいことではない。もともとマルドゥのクロックは2ターン目から機能するものがほとんどで、繰り返しになるが1ターン目はタップインの土地によるテンポロスをなくすための最善のターンでもある。2枚目の土地はぜひアンタップで置いてクロックを展開したいところではあるが、先手の利を生かして手札破壊や1マナの除去を構えて2枚目のタップインを処理するのも悪くない動きだ。
やはり重要となるのは4枚目、そして5枚目の土地をしっかりとアンタップインで……いや、そもそもにおいてまず4枚目の土地と5枚目の土地にアクセスできるかどうかが非常に重要だ。私は今の環境になってもずっとマルドゥを使い続けているが、土地が25枚のデッキでも4枚目の土地を置けずにゲームに負けることが非情に多かった。そしてそれは非常に悲しく、非常に悔しい。何せこっちはゲームをしていないのだから。
そしてまず土地の枚数とマナベースの改善を行った。ミシュラランドの採用によってマルドゥも多少のマナフラッドが許容できるようになったので、土地の枚数は26枚まで増加した。たった1枚の差ではあるが、このおかげで少なくとも4枚目の土地くらいまでは1度のフェッチランドの使用を経由したとしても安定して並べることができるようになった。
マルドゥにおける4ターン目のナラー夫妻、5ターン目のロックという動きはもはや必勝パターンに近い。そこに至るまでの1-3ターン目までは軽めのクロックを用意して攻め手を絶やさないように盤面を構築するなり、軽めの除去で相手の妨害をするなどに専念するべきだ。特に相手の場にクリーチャーを出来るだけ残さずしっかりと処理をすることにより、4ターン目以降の相手の動きを著しく制限することが可能だ。
前述したように、ナラー夫妻は絹包みにもアブザンの魔除けにも引っかからない上にこちらの手数を増やしてくれる。相手からしてみれば本体も飛行機械もどちらも厄介だろうが、全てを一度に対処するのは非常に難しい。特に衰滅が環境から減ってきている今は困難だし、相手のはじける破滅にも強い。
こうして面で攻めることを覚えてからは使用感が思いのほかよくなった。マルドゥというデッキは相手に対して対処をするデッキだとばかり思い込んでいたが、今は相手に対処を迫るための動きも身につけていた。しかも対処方法は極めて難しい上に、撃ち漏らしがあろうものならばすぐさまに2匹の巨大な鳥が戦場への増援に駆けつけるのだ。
多くのプレイヤーが感じたことがあると思うが、強襲を満たしたロックを追加された盤面を捲くるのは本当に難しい。そしてそれこそが私の追い求めてきたマルドゥ本来の動きだったのだ(よくよく見ればロックも強襲のキーワード能力を持っている以上、紛れもなくマルドゥのためのカードなのだ!)。
以上の点を踏まえた上で、最近使っている実際のリストを紹介させてもらおう。
4搭載歩行機械
3魂火の大導師
3ピア・ナラーとキラン・ナラー
4風番いのロック
4焦熱の衝動
3蔑み
2絹包み
4はじける破滅
2コラガンの命令
1残忍な切断
2ゼンディカーの同盟者、ギデオン
2真面目な訪問者、ソリン
4血染めのぬかるみ
4遊牧民の前哨地
4乱脈な気孔
4戦場の鍛冶場
2コイロスの洞窟
2燻る湿地
3山
2平地
1沼
サイドボードは割愛させてもらう。
構築当初はギデオンが4枚だったのだが、マナベース的にやはり白白を4ターン目までに揃えることは難しいこともあり、ソリンと2枚ずつ散らす形で落ち着いた。ギデオンは極めて強力なPWだが、主にすれ違いのライフレースをするようなデッキ相手にはソリンのほうがより強力に機能する。
魂火の枚数が3枚に抑えられているのは、序盤に2枚以上引いたときに弱いからだ。しかし後半のマナフラッドなどにもバイバック能力で対応できるので、3枚以下の枚数にするつもりはない。コラガンの命令やはじける破滅がバイバックするようになったら相手の顔をよく見てみるといいだろう。
ナラー夫妻も4枚採用したかったのだが、やはり伝説ということと早い段階で2枚目を引きたくないので3枚に減らした。代わりにこのデッキの主役であるロックは4枚のフル体勢だ。これはゲーム序盤に手札でダブつくことを天秤にかけても、5ターン目に1枚目をプレイできる前提ならその時点で勝ちを大きく引き寄せてくれるカードなので一切の妥協はなしだ。
さて、長々と脈絡のない文章だったが暇つぶしの種程度には楽しんでもらえただろうか? もちろんロックを一番うまく使えるデッキがマルドゥである、ということはない。無理なく4枚使えるデッキを探しているなら、マルドゥをオススメするよくらいの気持ちで解釈してくれればこちらとしても幸いだ。
ここまで読んでくれてありがとう。色々と足りない部分の多い文章だとは自覚しているが、今までマルドゥを使っていた、あるいはこれからマルドゥを使おうと考えている多くのMTGプレイヤーのわずかな一助にでもなることができたのなら、これほど嬉しいことはない。
最後に、全ての風番いのロックが群れを成し、包囲サイの遥か頭上を越えてあなたへと勝利の風をもたらしてくれますように。
私がマルドゥを使い続ける理由 その3 -風番いのロック-
2015年11月1日 考察記事 コメント (4)テーロスブロックがローテーションから去ったことで価値の上がったカードは少なくない。風番いのロックも間違いなくその中の一枚で、同じ5マナ域でプロテクション白を持っていた嵐の息吹のドラゴンという天敵はもはや存在しない中、5マナのカードとしては破格の性能を持っていることは周知だろう。
大前提としてこのカードは強襲を満たしてプレイすることが必要だ。そのためには少なからずデッキの中にこちらから殴りにいける要素を詰め込む必要があり、多くの場合アグロデッキやミッドレンジデッキでその強さを発揮することになる。言い換えれば、相手と常に一対一を繰り返しているだけで盤面に何も残らないようであれば、カードとしての価値はないに等しい。
風番いのロックが現在のスタンダード環境で強い理由はいくつかある。第一にまずトップメタとされているジェスカイ系、アブザン系のデッキに対して満遍なく強いということが挙げられる。どちらのデッキも軽めのクロックを維持しながら強襲を満たすことが容易く、一度出てしまえば相手にとってこれ以上厄介な相手はそうはいないだろう(つまり味方にしてしまえばこれ以上なく頼もしいということだ)。
また3/4というサイズも申し分がない。軽めの除去は最近では焦熱の衝動が多く採用されているが、魔巧を達成しても打ち落とすことはできずもう一手間をかけることになる。加えて今流行のカマキリの乗り手を一方的に倒せるというのが一番の魅力だろう。3マナのカードに対して5マナのカードで対処するのはかなり手遅れ感はあるが、一枚でカマキリ2匹分の防衛線を構築できるのは素晴らしい。
では風番いのロックを一番うまく扱えるデッキはどれなのだろうか。一見して白のWシンボルさえ許容できるのであればどのデッキでも採用を検討するに値するカードのように見えるが、実際の内部事情はそう簡単ではないようだ。
ジェスカイブラックはそのデッキのマナベースの構成上、4マナ域にギデオンを採用しないケースが多い。これはバトルランドとフェッチランドの兼ね合いの延長線上にある一種の弊害のようなもので、3色のシングルシンボルをそろえることよりも1色のWシンボルを揃えることのほうがマナベース的に困難であるとされているのが原因だ。特にそれが4ターン目にWシンボルを要求する場合はより顕著になる。
では純正のジェスカイやアブザンではどうだろうか。4色デッキほど無理なマナベースではないにしろ、どちらもやはり3ターン目に3色を揃えることができるようなマナベースを構築する必要がある。アナフェンザもカマキリもそれに見合うだけの十分な戦力を持ち合わせており、彼らなくして今のアブザンとジェスカイは語れず、そのためにマナベースは自然と均等3色に調整される。
ここで考えて欲しいのは、例としてあげたギデオンとロックの間には1マナ分の違いがあるということだ。何が言いたいのかというと、4ターン目に白のWシンボルは用意しにくいが、5ターン目であれば用意しやすいということだ。
3色デッキはその構成上、タルキール覇王譚で登場した楔3色土地を使ういずれかの氏族で構築されることが多い。この3色土地は著しくマナベースの向上をしてくれるが、その側面でタップインという決して見過ごすことのできないデメリットも同時に抱えている。
特にアブザンは白黒のミシュラランドを手に入れたことで、デッキ構築の時点で自然とタップインの土地が8枚からスタートする構成になりがちだ。仮にデッキの土地を25枚、タップインの土地を8枚だと仮定すると、単純な計算で3枚に1枚はタップインの土地を引くことになる。5ターン目まで毎ターン土地を置き続けることができたとして、平均で2枚はタップインすることになる。実際は緑白のバトルランドも2枚程度採用されているので、それを加味すれば約4割の確率でタップインの土地を置くことになる。
理想的なのは1ターン目にタップインを処理することだ。しかし単純な確率に従えば5ターン目までにどこかでもう一度はタップインの土地を置くことになる。アブザンの話で例を挙げるなら、2ターン目の土地がタップインなら搭載歩行機械をプレイできない。3ターン目ならアナフェンザをプレイできず、4ターン目なら包囲サイをプレイできないことになる。
そして5ターン目であれば風番いのロックをプレイできないが、アブザンであればそこは2枚目の包囲サイの動きのほうが強いのでさほど気にならない。アブザンに風番いのロックが多くても2枚程度に抑えられている理由も、5ターン目にプレイすることに確実性がないということと、単純に他のカードパワーが高いので無理して入れる必要がないということなのだろう。
これがジェスカイになるとさらに難しくなる。ミシュラランドのおかげでマナフラッドにある程度許容のできるアブザンとは異なり、ジェスカイは色々な意味でデッキの内部がかつかつだ。ジェイスを採用する都合上、デッキの中にはある程度の非クリーチャー呪文を詰め込む必要がある。その上で軽量でダメージ効率のいいクリーチャーを必要最低限に抑える必要があるからだ。
そうなるとデッキの構成上、ただでさえ5マナと重いロックはもはや採用には値しないのは当然とも言える。もっとも、ミラーマッチで強いことを考慮してサイドに何枚か居場所を作る構成はあるようだ。サイドの後のロックを効率よく捌けるカードは少なく、黒タッチのはじける破滅に対しても強いのは非常にうれしいところだ。
では結局のところ、ロックをもっともうまく、そして多く使えるデッキは何なのか。お答えしよう。それは我らがマルドゥであると。
多くのマルドゥはドラゴン型の構成をしていた。嵐の息吹のドラゴンがいなくなったあとも、雷破の執政と疾駆コラガンでぎりぎりドラゴンカウントを保て、龍詞の咆哮をもっともうまく扱えると信じて疑わなかった。今でもそれは間違いだとは思っていない。が、別のアプローチも必要だということに気付かされた。奇しくも、全ての原因はマルドゥを象徴するはじける破滅というカードにあった。
はじける破滅はジェスカイブラックに採用されたことでより一層注目を集めだしたカードだ。もともと弱いことなんてどこにも書いていなかったが、要求される3色がまさにマルドゥ専用だという印象を与えていたところに、バトルランドでのマナベース緩和が入って評価が上がったと言える。
そしてこのはじける破滅、悉く環境にいるドラゴンを1枚で処理してしまう。ああ、なんということだ。今まで味方だった者に突然裏切られたかのようなショックを感じずにはいられない。それほどまでにこのカードは使われることでも強力だったのだ。
雷破の執政はアブザンの魔除けで追放されるときは相手に稲妻を見舞ってくれた。まるで死の際の最後の雄叫びであるかのように、その3点はゲームに少なくない影響を及ぼしていた。しかしどうだろう。今、明らかにマルドゥではない氏族がマルドゥの力を使って我らがドラゴンを駆除している。そして後には何も残らない。ああ、本当に何も残らないんだ。
考えを改める必要があった。一対一を繰り返されるだけではマルドゥは他の氏族に勝てない。屈強な龍の爪も牙も鱗も、敵の喉笛に届かなければ意味がない。単体では駄目だった。数による別の力が必要だった。一匹の龍よりも、二匹の鳥に頼るべき必要があった。
その4に続く
私達がマルドゥを使う理由 -カラデシュの火、チャンドラ-
2015年9月28日 考察記事 コメント (4)カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh
伝説のクリーチャー — 人間(Human) シャーマン(Shaman)
あなたが赤の呪文を1つ唱えるたび、カラデシュの火、チャンドラをアンタップする。
(T):プレイヤー1人を対象とする。カラデシュの火、チャンドラはそのプレイヤーに1点のダメージを与える。このターンにカラデシュの火、チャンドラが3点以上のダメージを与えたなら、カラデシュの火、チャンドラを追放し、その後、これを変身させた状態でオーナーのコントロール下で戦場に戻す。
2/2
燃え盛る炎、チャンドラ/Chandra, Roaring Flame
[+1]:プレイヤー1人を対象とする。燃え盛る炎、チャンドラはそのプレイヤーに2点のダメージを与える。
[-2]:クリーチャー1体を対象とする。燃え盛る炎、チャンドラはそれに2点のダメージを与える。
[-7]:燃え盛る炎、チャンドラは各対戦相手にそれぞれ6点のダメージを与える。これによりダメージを与えられた各プレイヤーはそれぞれ「あなたのアップキープの開始時に、この紋章はあなたに3点のダメージを与える。」を持つ紋章を得る。
4
もう間もなくスタンダードのローテンションは大きな変化を迎える。テーロスブロックの3つと基本セット2015が去ることにより、マルドゥは……そしてスタンダード環境は多くのものを失うことになるだろう。
中でも特筆すべきは、赤のお家芸とも言えるインスタントの2マナ3点火力が龍詞の咆吼しか残されていないということだ。スタンダードという大きな枠組で見れば大した問題ではないかもしれないが、赤系のアグロやミッドレンジデッキを愛するプレイヤーとしては、これは非常に由々しき問題だ。
ここで一度表題に話を戻す。今回取り上げたカードはマジック・オリジンに収録されている両面プレインズウォーカーの1人であるチャンドラだ。
上に彼女のテキストををそのまま記載してあるが、その変身条件は同時期に収録された他のプレインズウォーカー達と比較するとやや難しい。
これは私自身が犯してしまった間違いなのだが、彼女を変身させるためには起動型能力で与えたダメージがそのターン彼女の与えるで3点目以降のダメージでなくてはならないということだ。
少し前、私はこれを勘違いしてまず能力起動で相手に1点。その後赤の火力呪文で相手のブロッカーを排除、攻撃して2点を与えて彼女を変身させる……という誤った動きをしてしまった。
落ち着いて文面を見ればすぐに間違いだと気づくことが出来たのだが、それを気付かされたのはゲームが終わった後のことだった。
この出来事からも分かるように、彼女の変身条件はやや特殊で条件を満たしにくい。基本的に3ターン目に彼女を呼び出し、4ターン目の戦闘ダメージも込みで変身させるのがもっともダメージ効率が良いのだが、そのためには彼女の目の前に立ち塞がる彼女より強大なブロッカーを戦闘中に……より正確にはブロッククリーチャー指定ステップに入る前に倒す必要がある。
そのために必要とされるのが【赤】で【インスタント】の【除去呪文】だ。
今までのスタンダードにはこれを満たすカードは少なくはなかった。上で挙げた龍詞の咆吼は言うまでもなく、稲妻の一撃にかき立てる炎まであったからだ。
しかしローテーション後の環境にはこの2種類の姿はない。極上の炎技はその名の通り極めて優秀な赤の4点火力だが、これはソーサリーだ。残念ながら戦闘中にプレイすることは叶わない。
戦乱のゼンディカーのカードリストにも隅々まで目を光らせてみたが、残念ながら採用に耐えうる赤の軽いインスタント火力は存在しなかった。ローテーション後はわずかに乱撃斬と龍詞の咆吼が残るだけだろう。だが肩を落とすのはまだ早い。それらはあくまで赤単色のインスタント火力の話だ。はじける破滅やコラガンの命令もまた赤の呪文であることを我々は忘れてはいけない。
振り出しに戻るようで申し訳ないが、そもそもにおいてカラデシュの火、チャンドラはプレイするに値するカードであるかどうかという疑問があるだろう。もちろんこれは個人によって回答は異なるが、私は自信を持ってプレイするに値する強力なカードであることを断言できる。
理由として上げるのはこのカードのダメージ効率の凄まじさだ。彼女を変身させるためには最大効率で考えても戦闘で2点、その後の起動型能力で1点のダメージを対戦相手に与える必要がある。
これを効率良く満たせるカードが前述した赤いインスタント除去だ。そしてはじける破滅はそれに該当する中でおそらく最高のカードの1枚だろう。
簡単な例を出すことにする。
3ターン目にチャンドラをプレイし、除去されずにターンが帰ってきたとする。戦闘フェイズに入り、彼女の目の前に立ちはだかる敵が乱撃斬で打ち倒せるのであればそれを。そうでない場合ははじける破滅を使って道をこじ開けよう。
まず彼女は戦闘中に自身の誘発型能力でアンタップされ、そのまま2点の戦闘ダメージを与える。その後起動型能力で1点のダメージを追加で叩きこめば変身は完了だ。
おっと、まだ終わっちゃいない。変身後の彼女は新たな能力を使うことができるので、必要に応じて相手にさらなる2点を叩き込むか、小型クリーチャーを除去するかを考えよう。
仮にここで+1能力で相手に2点のダメージを与えたことを選んだとする。するとどうだろう。彼女は変身こそしたものの、彼女という1枚のカードで実に5点ものダメージをこのターンで対戦相手に与えたことになる。他のカードとの組み合わせがあったとはいえ、このダメージ効率は非常に大きい。はじける破滅ならさらに2点が、龍詞の咆吼のボーナス込みならさらにもう3点削れているのだから。
また、彼女が変身した後も対処されにくいというのも強みだろう。英雄の破滅はスタンダードを去り、インスタントタイミングで対処できるカードは限られている。+1能力を使った後なら忠誠値も5と高く、包囲サイの一撃にも耐えることが出来る。タフネス2以下の脅威は自身で取り除くことができるので、生存率はかなり高いと判断できる。
そして奥義もまた現実的に目指せる上に、一度相手に紋章を与えれば継続的なダメージが約束される。おそらく紋章から最初のダメージを受ける頃には対戦相手も消し炭になっていることだろう。
さらに言うなら、戦闘ダメージ込みでの変身は確かにもっとも効率がいい。しかし、かといって変身をそれだけに頼る必要もない。彼女は赤の呪文さえ唱えればアンタップが可能なのだから、雷破の執政などを唱えることでもでも継続的にダメージ源として活躍してくれる。場合によっては2枚の赤いカードと組み合わせて起動型能力を3回使い変身することも少なく無いだろう。もちろん、変身が早いターンであればあるほどより大きなプレッシャーを与えることが可能だ。
さあ、もういいだろう? 思考囲いとゴブリンの熟練扇動者と嵐の息吹のドラゴンにお別れは済ませたかい? 悲しむことはない。出会いがあれば別れがあるのはMTGの世界だけじゃあないんだ。
マルドゥは多くのものを失ったが、代わりにまたかけがえのないものを手の入れたのかもしれない。それが彼女であるという保証はないが、私はそうであってほしいと願って60枚の中に彼女4枚分の居場所を用意した。
おそらく、多くの人達が彼女を知っているだろう。そして同時に多くの人が彼女の変身した姿をまだ知らないはずだ。もしそうであるのなら、ぜひ彼女とともに次のスタンダードを渡り歩いてみてほしい。多かれ少なかれの不要さは必ず感じることになるだろう。それでもまずは1度だけでいい。彼女をあなたの手で変身させてみてしい。
そして願わくば、それがあなたの【マルドゥ】の中でありますように。
伝説のクリーチャー — 人間(Human) シャーマン(Shaman)
あなたが赤の呪文を1つ唱えるたび、カラデシュの火、チャンドラをアンタップする。
(T):プレイヤー1人を対象とする。カラデシュの火、チャンドラはそのプレイヤーに1点のダメージを与える。このターンにカラデシュの火、チャンドラが3点以上のダメージを与えたなら、カラデシュの火、チャンドラを追放し、その後、これを変身させた状態でオーナーのコントロール下で戦場に戻す。
2/2
燃え盛る炎、チャンドラ/Chandra, Roaring Flame
[+1]:プレイヤー1人を対象とする。燃え盛る炎、チャンドラはそのプレイヤーに2点のダメージを与える。
[-2]:クリーチャー1体を対象とする。燃え盛る炎、チャンドラはそれに2点のダメージを与える。
[-7]:燃え盛る炎、チャンドラは各対戦相手にそれぞれ6点のダメージを与える。これによりダメージを与えられた各プレイヤーはそれぞれ「あなたのアップキープの開始時に、この紋章はあなたに3点のダメージを与える。」を持つ紋章を得る。
4
もう間もなくスタンダードのローテンションは大きな変化を迎える。テーロスブロックの3つと基本セット2015が去ることにより、マルドゥは……そしてスタンダード環境は多くのものを失うことになるだろう。
中でも特筆すべきは、赤のお家芸とも言えるインスタントの2マナ3点火力が龍詞の咆吼しか残されていないということだ。スタンダードという大きな枠組で見れば大した問題ではないかもしれないが、赤系のアグロやミッドレンジデッキを愛するプレイヤーとしては、これは非常に由々しき問題だ。
ここで一度表題に話を戻す。今回取り上げたカードはマジック・オリジンに収録されている両面プレインズウォーカーの1人であるチャンドラだ。
上に彼女のテキストををそのまま記載してあるが、その変身条件は同時期に収録された他のプレインズウォーカー達と比較するとやや難しい。
これは私自身が犯してしまった間違いなのだが、彼女を変身させるためには起動型能力で与えたダメージがそのターン彼女の与えるで3点目以降のダメージでなくてはならないということだ。
少し前、私はこれを勘違いしてまず能力起動で相手に1点。その後赤の火力呪文で相手のブロッカーを排除、攻撃して2点を与えて彼女を変身させる……という誤った動きをしてしまった。
落ち着いて文面を見ればすぐに間違いだと気づくことが出来たのだが、それを気付かされたのはゲームが終わった後のことだった。
この出来事からも分かるように、彼女の変身条件はやや特殊で条件を満たしにくい。基本的に3ターン目に彼女を呼び出し、4ターン目の戦闘ダメージも込みで変身させるのがもっともダメージ効率が良いのだが、そのためには彼女の目の前に立ち塞がる彼女より強大なブロッカーを戦闘中に……より正確にはブロッククリーチャー指定ステップに入る前に倒す必要がある。
そのために必要とされるのが【赤】で【インスタント】の【除去呪文】だ。
今までのスタンダードにはこれを満たすカードは少なくはなかった。上で挙げた龍詞の咆吼は言うまでもなく、稲妻の一撃にかき立てる炎まであったからだ。
しかしローテーション後の環境にはこの2種類の姿はない。極上の炎技はその名の通り極めて優秀な赤の4点火力だが、これはソーサリーだ。残念ながら戦闘中にプレイすることは叶わない。
戦乱のゼンディカーのカードリストにも隅々まで目を光らせてみたが、残念ながら採用に耐えうる赤の軽いインスタント火力は存在しなかった。ローテーション後はわずかに乱撃斬と龍詞の咆吼が残るだけだろう。だが肩を落とすのはまだ早い。それらはあくまで赤単色のインスタント火力の話だ。はじける破滅やコラガンの命令もまた赤の呪文であることを我々は忘れてはいけない。
振り出しに戻るようで申し訳ないが、そもそもにおいてカラデシュの火、チャンドラはプレイするに値するカードであるかどうかという疑問があるだろう。もちろんこれは個人によって回答は異なるが、私は自信を持ってプレイするに値する強力なカードであることを断言できる。
理由として上げるのはこのカードのダメージ効率の凄まじさだ。彼女を変身させるためには最大効率で考えても戦闘で2点、その後の起動型能力で1点のダメージを対戦相手に与える必要がある。
これを効率良く満たせるカードが前述した赤いインスタント除去だ。そしてはじける破滅はそれに該当する中でおそらく最高のカードの1枚だろう。
簡単な例を出すことにする。
3ターン目にチャンドラをプレイし、除去されずにターンが帰ってきたとする。戦闘フェイズに入り、彼女の目の前に立ちはだかる敵が乱撃斬で打ち倒せるのであればそれを。そうでない場合ははじける破滅を使って道をこじ開けよう。
まず彼女は戦闘中に自身の誘発型能力でアンタップされ、そのまま2点の戦闘ダメージを与える。その後起動型能力で1点のダメージを追加で叩きこめば変身は完了だ。
おっと、まだ終わっちゃいない。変身後の彼女は新たな能力を使うことができるので、必要に応じて相手にさらなる2点を叩き込むか、小型クリーチャーを除去するかを考えよう。
仮にここで+1能力で相手に2点のダメージを与えたことを選んだとする。するとどうだろう。彼女は変身こそしたものの、彼女という1枚のカードで実に5点ものダメージをこのターンで対戦相手に与えたことになる。他のカードとの組み合わせがあったとはいえ、このダメージ効率は非常に大きい。はじける破滅ならさらに2点が、龍詞の咆吼のボーナス込みならさらにもう3点削れているのだから。
また、彼女が変身した後も対処されにくいというのも強みだろう。英雄の破滅はスタンダードを去り、インスタントタイミングで対処できるカードは限られている。+1能力を使った後なら忠誠値も5と高く、包囲サイの一撃にも耐えることが出来る。タフネス2以下の脅威は自身で取り除くことができるので、生存率はかなり高いと判断できる。
そして奥義もまた現実的に目指せる上に、一度相手に紋章を与えれば継続的なダメージが約束される。おそらく紋章から最初のダメージを受ける頃には対戦相手も消し炭になっていることだろう。
さらに言うなら、戦闘ダメージ込みでの変身は確かにもっとも効率がいい。しかし、かといって変身をそれだけに頼る必要もない。彼女は赤の呪文さえ唱えればアンタップが可能なのだから、雷破の執政などを唱えることでもでも継続的にダメージ源として活躍してくれる。場合によっては2枚の赤いカードと組み合わせて起動型能力を3回使い変身することも少なく無いだろう。もちろん、変身が早いターンであればあるほどより大きなプレッシャーを与えることが可能だ。
さあ、もういいだろう? 思考囲いとゴブリンの熟練扇動者と嵐の息吹のドラゴンにお別れは済ませたかい? 悲しむことはない。出会いがあれば別れがあるのはMTGの世界だけじゃあないんだ。
マルドゥは多くのものを失ったが、代わりにまたかけがえのないものを手の入れたのかもしれない。それが彼女であるという保証はないが、私はそうであってほしいと願って60枚の中に彼女4枚分の居場所を用意した。
おそらく、多くの人達が彼女を知っているだろう。そして同時に多くの人が彼女の変身した姿をまだ知らないはずだ。もしそうであるのなら、ぜひ彼女とともに次のスタンダードを渡り歩いてみてほしい。多かれ少なかれの不要さは必ず感じることになるだろう。それでもまずは1度だけでいい。彼女をあなたの手で変身させてみてしい。
そして願わくば、それがあなたの【マルドゥ】の中でありますように。
私達がマルドゥドラゴンを使う理由
2015年9月14日 考察記事 コメント (7)今は正直言って少ないと思う。ちょこちょこ勝ってるリストは見るけれど、デッキの構成上特に有利が付くデッキが多くもなく少なくもない。
そういう意味では丸いデッキと捉えることもできるが、丸さでアブザンの右に出るものはないので丸いデッキを使いたいならアブザンを使うべき。
しかしながら搭載飛行機械の出現によって手薄だった2マナ域に待望のクリーチャーが追加されたのは朗報。
もともと構成色の都合上手札破壊と除去にはほぼ困らない。クリーチャーの質だって決して悪くはないが、他の色と見比べた時にアドバンテージを取る手段に乏しいというのが、この半年マルドゥというデッキを使ってきて感じたことだ。
早い話が1:2を取れるカードが少ない。はじける破滅やコラガンの命令は確かに1:2を約束してくれるカードではあるが、その他の命令系(オジュタイの命令、ドロモカの命令)などに比べてスタンダードではやや見劣りする。その分はまったときに強いという利点はもちろんある。
そしてガス欠にもなりやすい。最終的にトップ勝負にもつれこむことは非常に多く、そうなった場合にも既存の他のデッキに対してマルドゥは劣る。
アブザンの魔除けや時を越えた探索は色の都合上どうしても使えないし、唯一恒久的なアドバンテージを供給してくれそうな前哨地の包囲にしたってドロモカの命令が幅を利かせている現状では安心感が少ない。
こう書くといいところのまるでないゴミの塊のように聞こえるが、もちろんマルドゥというデッキがある程度の結果を出している以上、そこには確固たる強さの源というものがある。
そしてこれはモダンのジャンドなどにも通じる部分があるのだが、マルドゥの強さはテンポにあると考えている。極端な例を出すのなら、1t目思考囲い、2t目除去、3t目ゴブリンの熟練扇動者のような動き方のことだ。
ハンデスで前方確認して除去や打ち消しを弾き、逆に相手の初動は除去などで潰し、何もない盤面を走り抜けるゴブリンの熟練扇動者の動きは必勝パターンに近いものがある。事実この動きが好きで長い時間マルドゥを愛用してきた。
しかしここで天敵が舞い降りる。オリジンがもたらしたのは搭載飛行機械という救世主だけではなかった。衰滅という天敵もまた、マルドゥというデッキを1枚で否定してしまうカードの1つだ。
上でも書いたがマルドゥはテンポを取るデッキだ。軽量のハンデスと除去から展開されるゴブリンの熟練扇動者や各種ドラゴンは、相手の手札がよほど盤石でもない限り必ず撃ち漏らしが出てくる。その隙を突いて素早く勝利に繋げるのがマルドゥというデッキだと私は考えている。
そしてそういうデッキが勝てないということは、環境がより低速なコントロールにシフトし始めているということでもある。
現在のスタンダード環境は(といっても残り数週間だが)アブザンコントロールとエスパードラゴンの2タイプが良い結果を収めていると思う。前者が流行ったので、それに強いより低速な後者が出現したというのは構図としては非常にわかりやすい。
そしてその2種類に対してマルドゥは不利がつく。後者はまだはじける破滅や思考囲いが活躍するマッチアップなので絶望的ではないが、前者の場合はなかなかに厳しい戦いを強いられることになる。
アブザンの唱える思考囲いはこちら同様にこちらの初動を否定する。どのマッチに置いても言えることだが、思考囲いというカードはキープを否定するカードだ。なぜならその思考囲いで落とされるのは、あなたがキープ基準とした1枚のカードだからだ。
そしてマルドゥが消耗戦を挑むデッキなのに対し、アブザンは消耗戦を望むデッキだ。狩猟者、魔除け、包囲サイ、棲み家の防御者。そして防御者で回収される思考囲い、魔除け、包囲サイ。やがて訪れる太陽の勇者。これ以上の説明は不要だろう。
何もマルドゥに限ったことではないが、環境を支配しつつあるデッキに五分がつかないデッキは進んで使うべきではない。私やあなたがこの先のGPTやPPTQを勝ち抜きたいと強く思っているならなおさらだ。
しかし反面、それ以外のデッキに対してはマルドゥというデッキはうまく立ち回れることが多い。数は減ったが赤単や、上記の2種に次いで勢力図を拡大しつつあるジェスカイなどには悪くても五分五分で立ち回れると思っている(私の経験則が多分に含まれるので実際は怪しいが)。
これらを踏まえた上でマルドゥを選択することは大いに有り得る。だが常に忘れてはいけないことは、私やあなたがマルドゥで勝ち上がれば上がるほど、その先にはアブザンやエスパーが出迎える準備をしているということだ。もちろん絶望的なマッチアップではないにせよ、苦戦は必至だろう。
それでもこの環境の最後の時を思考囲いと、ゴブリンの熟練扇動者と、嵐の息吹のドラゴンと共に迎えるというのなら、よろしい、あなたはマルドゥだ。最後の瞬間までマルドゥであることを切に願う。
そういう意味では丸いデッキと捉えることもできるが、丸さでアブザンの右に出るものはないので丸いデッキを使いたいならアブザンを使うべき。
しかしながら搭載飛行機械の出現によって手薄だった2マナ域に待望のクリーチャーが追加されたのは朗報。
もともと構成色の都合上手札破壊と除去にはほぼ困らない。クリーチャーの質だって決して悪くはないが、他の色と見比べた時にアドバンテージを取る手段に乏しいというのが、この半年マルドゥというデッキを使ってきて感じたことだ。
早い話が1:2を取れるカードが少ない。はじける破滅やコラガンの命令は確かに1:2を約束してくれるカードではあるが、その他の命令系(オジュタイの命令、ドロモカの命令)などに比べてスタンダードではやや見劣りする。その分はまったときに強いという利点はもちろんある。
そしてガス欠にもなりやすい。最終的にトップ勝負にもつれこむことは非常に多く、そうなった場合にも既存の他のデッキに対してマルドゥは劣る。
アブザンの魔除けや時を越えた探索は色の都合上どうしても使えないし、唯一恒久的なアドバンテージを供給してくれそうな前哨地の包囲にしたってドロモカの命令が幅を利かせている現状では安心感が少ない。
こう書くといいところのまるでないゴミの塊のように聞こえるが、もちろんマルドゥというデッキがある程度の結果を出している以上、そこには確固たる強さの源というものがある。
そしてこれはモダンのジャンドなどにも通じる部分があるのだが、マルドゥの強さはテンポにあると考えている。極端な例を出すのなら、1t目思考囲い、2t目除去、3t目ゴブリンの熟練扇動者のような動き方のことだ。
ハンデスで前方確認して除去や打ち消しを弾き、逆に相手の初動は除去などで潰し、何もない盤面を走り抜けるゴブリンの熟練扇動者の動きは必勝パターンに近いものがある。事実この動きが好きで長い時間マルドゥを愛用してきた。
しかしここで天敵が舞い降りる。オリジンがもたらしたのは搭載飛行機械という救世主だけではなかった。衰滅という天敵もまた、マルドゥというデッキを1枚で否定してしまうカードの1つだ。
上でも書いたがマルドゥはテンポを取るデッキだ。軽量のハンデスと除去から展開されるゴブリンの熟練扇動者や各種ドラゴンは、相手の手札がよほど盤石でもない限り必ず撃ち漏らしが出てくる。その隙を突いて素早く勝利に繋げるのがマルドゥというデッキだと私は考えている。
そしてそういうデッキが勝てないということは、環境がより低速なコントロールにシフトし始めているということでもある。
現在のスタンダード環境は(といっても残り数週間だが)アブザンコントロールとエスパードラゴンの2タイプが良い結果を収めていると思う。前者が流行ったので、それに強いより低速な後者が出現したというのは構図としては非常にわかりやすい。
そしてその2種類に対してマルドゥは不利がつく。後者はまだはじける破滅や思考囲いが活躍するマッチアップなので絶望的ではないが、前者の場合はなかなかに厳しい戦いを強いられることになる。
アブザンの唱える思考囲いはこちら同様にこちらの初動を否定する。どのマッチに置いても言えることだが、思考囲いというカードはキープを否定するカードだ。なぜならその思考囲いで落とされるのは、あなたがキープ基準とした1枚のカードだからだ。
そしてマルドゥが消耗戦を挑むデッキなのに対し、アブザンは消耗戦を望むデッキだ。狩猟者、魔除け、包囲サイ、棲み家の防御者。そして防御者で回収される思考囲い、魔除け、包囲サイ。やがて訪れる太陽の勇者。これ以上の説明は不要だろう。
何もマルドゥに限ったことではないが、環境を支配しつつあるデッキに五分がつかないデッキは進んで使うべきではない。私やあなたがこの先のGPTやPPTQを勝ち抜きたいと強く思っているならなおさらだ。
しかし反面、それ以外のデッキに対してはマルドゥというデッキはうまく立ち回れることが多い。数は減ったが赤単や、上記の2種に次いで勢力図を拡大しつつあるジェスカイなどには悪くても五分五分で立ち回れると思っている(私の経験則が多分に含まれるので実際は怪しいが)。
これらを踏まえた上でマルドゥを選択することは大いに有り得る。だが常に忘れてはいけないことは、私やあなたがマルドゥで勝ち上がれば上がるほど、その先にはアブザンやエスパーが出迎える準備をしているということだ。もちろん絶望的なマッチアップではないにせよ、苦戦は必至だろう。
それでもこの環境の最後の時を思考囲いと、ゴブリンの熟練扇動者と、嵐の息吹のドラゴンと共に迎えるというのなら、よろしい、あなたはマルドゥだ。最後の瞬間までマルドゥであることを切に願う。